カーエンブレムの秘密
ダイハツのカーエンブレムは、DAIHATSUの頭文字Dを象ったもの。Dの文字を円形のラインが囲んでいます。しかし、ダイハツが生まれた当初は上部にカタカナで「ダイハツ」と書かれており、その下に大阪城がデザインされたエンブレムでした。
なぜ大阪城かと言うと、それはダイハツのルーツにあります。ダイハツの前身は、発動機製造株式会社。日本発の内燃機関の開発を目的として大阪で発足した企業です。発足時のメンバーは、官立大阪高等工業学校(現・大阪大学工学部)校長の安永義章博士ら研究者。今で言う産学連携での研究開発がスタートしました。
そうして、内燃機関やディーゼルエンジンなどの開発が進むなかで、「”大”阪にある”発”動機製造会社=ダイハツ」という愛称が広がり、ダイハツと社名を改めることになりました。そのため、初期のエンブレムには大阪をイメージさせる大阪城が描かれていたのです。
実用的なスモールカーを多く手掛ける
内燃機関やエンジンを日本で開発できるようにするため、輸入品を解体して図面を起こし、再現していたダイハツ。開発したエンジンのお披露目にもなった株主総会では、エンジンがかかった瞬間に大きな歓声が沸き上がったと言います。
自動車分野への参入は、1957年発売の軽3輪の「ミゼット」、軽貨物車の「ハイゼット」と、小回りの利く実用的な特徴を持つ車種から。特にミゼットは、潜在的なニーズを的確につかんだことで大ヒットとなりました。
海外製の大がかりな機械を、日本向けに小型化することに心血を注いでいた当時と同様に、現在でも軽自動車に強みのあるメーカーとして知られています。
現代でも、ムーブやタントといった日常的に使いやすい車を販売しています。子どものいる家庭、かつ女性が運転するシーンを想定しているのも特徴といえるでしょう。乗り降りのしやすさ、荷物の積みやすさなどが考えられており、そうした知見は福祉車両開発にも生かされています。
現在はトヨタの子会社に
ダイハツは現在、トヨタの完全子会社です。2010年からダイハツはトヨタのOEMを請け負っていましたが、2016年に完全子会社化。新興国でのスモールカービジネスについて、トヨタがダイハツのノウハウを欲したとされています。子会社化しましたが、それでもダイハツブランドは残りエンブレムも健在です。
エンジンメーカーとして培ったノウハウをもとに、トヨタの技術とも融合させながらさらなるスモールカー開発に力を入れています。