エンブレムについて
シトロエンのエンブレム・ロゴの「ダブル・シェブロン」はV字型の溝を持つやまば歯車(=ダブルヘリカルギア)がかみ合う接触面に由来します。
シトロエンの創業者アンドレ・シトロエンは、1919年に自動車メーカーシトロエンを作りましたが、それ以前は、やまば歯車と呼ばれる工業製品を作っていました。
そのため、この歯車をデザイン化したのがエンブレム・ロゴです。のちにこれが「ダブル・シェブロン」と呼ばれるようになりました。
シトロエンの100年以上の歴史の中で、様々なエンブレム・ロゴが生まれましたが、ダブル・シェブロンが消えることはありません
1919年の創設時のエンブレム・ロゴのダブル・シェブロンは青い背景と円の中に配置されています。
1932年にエンブレム・ロゴが刷新され、2種類のデザインが登場しました。
一つは新型車ロザリーに採用された新型のエンジンマウント構造(フローティングエンジン)をアピールするためのもので、水面に浮かぶ白鳥が描かれたものです。白鳥の背景にはダブル・シェブロンが見られます。
もう一つのデザインは、ラジエーターグリル上に取り上げられた大型のダブル・シェブロンです。
1950年代に入ると現代に近い形のデザインになります。
1958年に発表されたクーペ「DSクーペ・ル・パリ」にはダブル・シェブロンに加え、アンリ・シャプロンと書かれたロゴも装着されました。
アンリ・シャプロンとはフランスの自動車製造業者で、彼が手掛けた車であることを意味しています。
2004年に大きくデザイン・コンセプトが見直され、フロント側にはグリルラインに沿ったダブル・シェブロンが、リア側にはエッジが削られ太くなったダブル・シェブロンが装着されました。
2009年以降はダブル・シェブロンのエッジがさらに削られ、丸みを帯びた形になっています。
シトロエンのトラクシオン・アヴァン
現代では自動車の機構としてスタンダードなFF(前輪駆動)ですが、当時はこの機構が主流ではない時代、量産車に取り入れたのがシトロエンです。
1934年に送り出した7CVは「トラクシオン・アヴァン」という愛称で呼ばれていました。
トラクシオン・アヴァンとは、フランス語で前輪駆動を意味する技術用語で、当時はこの機構が珍しかったため、そのように呼ばれていました。
トラクシオン・アヴァンは他にも、先進的なモノコックボディ構造に、素晴らしいハンドリング、ソフトな乗り心地を実現し、当時の自動車業界に大きな革命をもたらします。